【日時】 2022年10月1日(土) 14時~15時
【会場】 福岡国際会議場メインホール(オンライン開催)
【テーマ】「未知への挑戦」
【講師】 杉村 英孝 氏(東京大会ボッチャ競技 優勝者)
     内藤 由美子 氏(ボッチャコーチ 作業療法士)
【司会】 田中 聡(福岡県作業療法協会 理事/株式会社リライブ)

【日時】2022年10月1日(土) 14時~15時
【会場】福岡国際会議場メインホール
   (オンライン開催)
【テーマ】「未知への挑戦」
【講師】杉村 英孝 氏
   (東京大会ボッチャ競技 優勝者)
    内藤 由美子 氏
   (ボッチャコーチ 作業療法士)
【司会】田中 聡 氏
   (福岡県作業療法協会 理事/
    株式会社リライブ)

東京大会のボッチャ競技優勝者 杉村英孝選手と杉村英孝選手のパーソナルスタッフで作業療法士の内藤由美子コーチをお招きしてオンラインにて記念講演が行われました。

杉村英孝選手からはボッチャの魅力についてお話をお伺いすることができました。
ボッチャは「障がい者と健常者が共生社会を体験できるスポーツ」であり、「自己選択と自己決定ができるスポーツ」。
それが実現できることが大きな自信となったそうです。
ボッチャ選手には競技中の最終判断をすべて行うことが求められます。

内藤由美子コーチからはボッチャや杉村選手との出会い、コーチとして作業療法士として杉村選手とどのように歩んできたかについてお話をお伺いすることができました。
ボッチャのルールや魅力についても詳しく教えていただきました。
内藤コーチが気をつけていることは、「選手の上に立たないこと」「選手と並走すること」。
コーチとして常に引っ張ることはせず、一緒に考えて選手の純粋な考えを聴くように心がけていたそうです。

杉村英孝選手はリハビリテーションを受けながら学校に通っていた経験をお持ちで、作業療法に対しては、日常生活に直結する支援を行い、自助具の工夫や考え方、視点を変えることでできることが増え、生活動作が楽になったとお話しされていました。
作業療法のアプローチはパラスポーツに必要な運動機能や競技用具の工夫をこらしてパフォーマンスを向上させていくという必要不可欠な作業に大きくつながると感じられたそうです。

ボッチャ競技への挑戦は「土台や前例のない未知の世界への挑戦」。
「様々な活動を通して、人と物を融合させ、そこに心をプラスする。
それができる職種が作業療法士ではないでしょうか」。
内藤由美子コーチの言葉がとても印象に残りました。

講演中も随所にお二人の素敵な笑顔が見られ、二人三脚で競技に向き合ってこられた姿を想像することができました。
気づけばあっという間に講演時間がすぎてしまいました。
遠いところ、福岡までお越しくださり、ありがとうございました。

2022年11月4日~12日にはバーレーンで国際大会が開催されます。
杉村選手と内藤コーチの今後のご活躍を祈念いたします。

ボッチャに興味を持たれた方は「一般社団法人日本ボッチャ協会」のホームページをご覧ください。

杉村 英孝(すぎむら ひでたか) プロフィール

東京パラリンピック BC2 個人 金メダリスト
杉村 英孝(Hidetaka Sugimura)


所属:有限会社伊豆介護センター
   BLACK × WHITE(チーム)
クラス:BC2
世界ランキング:3位(2022.5.1時点)

  • 第14回パラリンピック競技大会(2012/ロンドン)出場
  • 第15回パラリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)出場
      団体銀メダル
  • 第16回パラリンピック競技大会(2020/東京)出場
      個人金メダル 団体銅メダル 火ノ玉JAPANキャプテン
  • 内藤 由美子(ないとう ゆみこ) プロフィール

    杉村英孝選手 パーソナルスタッフ
    内藤 由美子(Yumiko Naito)


    所属:社会福祉法人 あしたか太陽の丘
       BLACK × WHITE(チーム)
    職業:作業療法士
       日本ボッチャ協会 強化スタッフ
    資格:障がい者スポーツコーチ・中級障がい者スポーツ指導員

  • 第15回パラリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)帯同
  • 第16回パラリンピック競技大会(2020/東京)帯同
  • これまでの歩み

    私がボッチャ競技を知ったのは、2008 年静岡県障がい者スポーツ大会に職場の利用者さんを引率して大会に出場した時でした。
    その大会で大敗したことで「利用者さんを勝たせたい」とルールを学び始めたのがボッチャとの関わりの始まりです。
    県内での講習会に参加し、大会で審判・ボランティアとして活動し始めました。

    杉村選手がボッチャ競技と出会ったのは高校 3 年生の時です。
    高校の先生の勧めでビデオを見てボッチャを知り、高校卒業後にチームを組んで友人と出場します。
    その大会の結果は 3 位。
    「悔しい」という思いを抱き、月に 1 回程度、友人たちと集まって練習をしながら、その後も大会に出場するようになりました。

    2010 年頃、県内の審判講習会の場で私と杉村選手のチームメンバーは交流する機会があり、言葉を交わすようになります。
    その後、県外に審判活動の場を広げた私は、大会に出場する杉村選手と行動を共にすることが多くなりました。
    介助・サポートの必要な杉村選手と、様々な大会に行って審判活動をしたい私のニーズが一致したためです。

    活動を共にする中で、生活介助から作業療法士としての知識を活かして少しずつ競技のサポートをするようになり、2013 年日本一決定の場「日本ボッチャ選手権大会」で杉村選手は初優勝をします。
    「作業療法士として何かできることがある」そう感じていました。
    そして選手を近くでサポートするため、スポーツの分野で必要な資格を探し始めました。

    2013年初級障がい者スポーツ指導員、2016年中級障がい者スポーツ指導員、2018年障がい者スポーツコーチの資格を取得しました。

    杉村選手の成績向上と、資格取得により日本ボッチャ協会に強化スタッフとして認められ、世界大会へ帯同することになりました。
    その後の世界大会で杉村選手は徐々に成績を上げ、2021 年時点で世界ランキング 2 位。
    1 年延期で迎えた東京大会では、個人戦で金メダルを獲得しました。

    パラスポーツの分野で作業療法士の関りはまだまだ少ないと思います。
    その中でこれまで取り組んできたこと、作業療法士としての視点、選手自身の思い等を皆様にお話しさせていただきたいと思います。

    内藤 由美子